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「おいおい。ナビが役に立たないってどういうことだよ」

俺は車から降りると周囲を山々に囲まれた畦道で迷っていた。
また思った以上にとんでもない場所だ。

こんなところに本当に養護施設なんかあるのかよ。
俺は井上さんに騙されたんじゃないかと思った。

スマホを見れば見事に圏外。
今時電波も拾えない場所が日本にあったとは。

俺は貰ったパンフレットを見ながら頭を掻いていると何やら音が聞こえてきた。
これは何の音だ?

もしや草笛?
それにしても上手だな。
これは一体何の曲だったっけ?

思い出は~い~つ~も…。

なるほど。

見事にハーモニーになっている。

いや待て。つまり人がいるわけか。
俺は音が聞こえる方に歩いていった。


歩いてすぐのところに小川が流れていて土手の草むらに一人の白いワンピースを着た少女が草笛を吹いていた。
俺は邪魔をしちゃいかんと思ってその音が止まるのをじっと待っていた。


二分経過したところで音は止まった。
俺は少女の後ろで拍手をする。

「ああ。ごめん。つい聞き入っちゃって…」
「あの…。何か?」

少女が不思議そうな表情をして尋ねてきた。


無理もないよな。
見ず知らずの奴がいきなり拍手しているなんて気持ち悪い限りだ。

「ごめん。実は乃木坂園という児童養護施設を探しているんだけどね」
「乃木坂園?あぁ。でしたらこの先をまっすぐ行くと川があって小さな橋があるのでそこを渡って突き当りを左に曲がれば見えますよ」

少女は笑顔でかつサラッと道を教えてくれた。
俺は何とも言えない不思議な気持ちになった。
どうしたらいいんだ?
とりあえずお礼は言わないとな。

「どうもありがとう。助かったよ。それに…」
「それに?」
「い、いや。君の草笛は今までで聴いた音楽の中で最高のものだったよ。じゃあこれで…」

俺はそう言うと足早に駆けていき車に乗り込んだ。

何だ?
すごく顔周りが熱いぞ。それに胸も苦しい。
まさか恋か?い、いやそんなはずない。まだあって数分しかないんだ。そんなはず。

俺はエンジンをかけるとギアを入れて目一杯アクセルを踏み込んだ。
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