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「申し訳ないが来季の契約は結ぶことができない…」

普段着なれないスーツを着て入団の時に見たお偉いさんたちが神妙な面持ちで俺のクビを斬った。

そう。俺はプロ野球選手だった。
二十年以上夢見てようやく叶えたがここでいとも簡単に断たれてしまったのだ。


「今後はどうする?何ならトライアウトまでは施設は自由に使っていいが…」

俺はまだ現役を続けるとも引退するとも言っていないのにいきなりトライアウトの話か。
つまり球団は俺を職員などで起用する気は更々ないようだ。

いくらトライアウトを受けようが俺の場合は一軍での実績も乏しいし第一もうあのスイングは戻らない。
ここが潮時だと思った。

たとえ他球団に拾われても1年や2年でまた同じことになる。
そうなってきた仲間を何人も見てきた。
プロになってああよかったなんて思い出もないし後から困りたくはない。
まだ若いうちに身を退いた方がよさそうだ。


「いいっす。俺は引退します」
「そうか。じゃあせめて最後に一度だけバッターボックスに立ってみないか?」
「は?」
「いや監督がもし辞める選手がいるなら最後に打席だけでも立たせてやってくれないかって言っていたな」

監督がそんなことを…。

でもそんなことしたらまた野球やりたくなっちゃうじゃないか。
せっかくやめるって決めたのに。


「せっかくなんですが…」

これでいいんだ。
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